決算書による分析(定量分析)は、なんといっても取引先の経営状態をつかむには最も手っ取り早い手法と言えます。取引先から決算書をもらうのは信頼関係がなければなかなか難しいとも思われますが、新規取引開始時や取引増額時は比較的受け入れられやすいものです。機会をうまく見つけて依頼するようにしましょう。
主な決算書には、財政状態が分かる貸借対照表(B/S)、営業成績が分かる損益計算書(P/L)、現金の動きが分かるキャッシュフロー計算書(C/F)があります。決算書を入手する際は、少なくとも貸借対照表、損益計算書は入手して分析するべきです。
財務分析は、財務比率を計算して行うことが一般的です。
財務比率分析は、決算書の決められた項目を抜き出して計算することで、過去からの推移をみて経営状態が良化しているか悪化しているかということや他社と比較してよい経営をしているか否かなどを容易に分析することができます。
ただし、財務分析に関して、絶対にこの値を超えていたら安全または危険というものはあり得ず、その企業の現在までの推移やその取引・業界特性等を加味する必要があります。そのためにも、決算書は直近1期分のみよりも2期、3期の決算書を入手し、その推移を見て比較することが望ましいと言えます。
また、上手く財務諸表を入手できたとしても、決算書が取引先の経営内容を実体どおり表しているかどうか、つまり粉飾しているかどうかを見抜かなくてはなりません。
取引額が多額の場合や支払遅れなどの問題が発生している場合など、集中して管理を行う必要がある場合は、取引先から資金繰り表を入手して、資金分析をしておく必要もあります。さらに可能であれば、取引先から法人税の税務申告書のコピーを入手し、詳細な分析を行うのも一つの方法です。
この際には、資料を提出すれば取引をしてもらえるのだという気持ちを取引先に持たれないように、毅然とした態度をとることが重要です。

※【総借入】=短期借入金+長期借入金+社債(転換社債を含む)+コマーシャルペーパー+割引手形
(長期借入金と社債は1年以内返済分も含む)