株式会社ゲートウェイ21は海外留学支援業者では業界でも大手とよばれた企業です。
同社は欧米をはじめとする留学希望者の支援を行い、年間約8,000人を海外に送り出していました。
債権者集会の様子が大きく報道されたため、ご記憶にとどめている方も多いのではないでしょうか。
会社の概要
同社は、1997(平成9)年4月に海外留学斡旋会社として設立されました。
年間7,000人から8,000人をオーストラリアやニュージーランド、米国、カナダなどへの語学留学やホームステイに送り出すとともに、渡航前の語学研修なども手がけていました。2007年6月期の年売上高は約28億 4,800万円にのぼり、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡に営業所を展開して急成長を遂げていました。
破産手続開始申立までの経緯
しかし、近年では燃料代高騰による燃料サーチャージの上昇などで運営経費が収益を圧迫し、ジリ貧状態にありました。
経営状況の悪化に伴い資金繰りも悪化。
同社は、留学予定者から預かった資金を、専属契約する海外の現地法人を介して、留学先やホームステイ先に支払うシステムをとっていましたが、資金繰りのためこの預かり金を流用し、2008年の春頃からは現地業者への支払いが遅れはじめました。
最終的には、9月末日の現地業者への支払い原資の調達が困難となり、9月26日付けで事業を停止し、事後を弁護士に一任、10月1日に破産手続の開始を申立てました。
負債総額は破綻により渡航不能となる留学希望者の前払い分など9億5000万円を含む12億9000万円にのぼるとみられます。

ポイント1 » 2007年6月 RM格付 D↓からE↓へ
2007年6月、財務体質が脆弱であること、売上に伸張がみられなくなり、大幅な減収となったことなどを懸念し格下げ。
ポイント2 » 2008年2月 E↓からF↓へ
2008年2月、事業環境、資金面に関する信用情報、および営業損失を計上し収益が悪化していることなどを総合的に評価し格下げ。
ポイント3 » F↓を継続
2008年3月以降も信用情報の入手が相次いだことなどにより警戒を強める。格付はF↓を維持。
- 売上規模が急拡大したからといってよい企業とは限りません。無理な拡大は要注意です。拡大の要因を調査してみましょう。急激な資金需要に資金の手当てが追いつかず、資金繰りが不安定になることもあります。
- 業界内での評判やライバル企業等の動向は重要な情報源。現場に近い営業担当は情報収集のチャンスがあります。不自然な時期に格付が下がっていたら、取引先の担当者や同業者などからも情報を収集してみましょう。
与信管理上、貴重な情報が得られることがあります。