2008年9月15日に発生した米国証券会社リーマンブラザーズの倒産を引き金に広がった世界的な金融危機は、それまで輸出に依存してきた日本企業の経営を直撃しています。
倒産のパターンは大きく2種類に分けられます。
一つは、従来より一般的であった不況・売上不振による倒産(ソルベンシー型)です。もう一つは、金融機関からの借り換えが困難となったことによる資金ショートによる倒産(リクイディティー型)です。
第2回目の今回は、最近の事例として 2009年2月16日に破産手続きに至った小杉産業の例を取り上げ、「金融工学研究所企業リスク情報」を活用したリスク判断の勘所を紹介します。同社の事例は典型的な売上減少によるソルベンシー型倒産であるといえます。
会社の概要
同社は1883(明治16)年に函館市において創業した老舗の衣料品販売業者です。
1985(昭和60)年に東証2部へと上場し、「ゴールデンベア」などのブランドを抱える有力アパレルメーカーに成長しました。
破産手続きまでの経緯
しかし、2002年1月期から7期連続の経常赤字を計上するなど経営状態は徐々に悪化し、2008年1月期は55億円の赤字を計上するなど財務内容を大きく悪化させていました。
昨年後半以降の米国での金融危機を端緒とした急激な消費の落ち込みが同社の販売を直撃し、2009年2月16日に破産手続きを開始するに至りました。

ポイント1 » 評価が継続的にダウンし、2008年8月 評価がC10に悪化
2008年3月まで同社の評価は業界の平均リスククラスと同等のC6であったが、同年4月にC9に大きくランクダウン、8月には最低のC10 まで悪化。
ポイント2 » 財務評価が大きく悪化し、最低評価の項目が多数
2007年1月期の財務評価と比較して、2008年1月期の財務評価は、健全性や成長性など多くの項目で最低評価の1に悪化。
ポイント3 » 倒産確率が上昇
倒産直前の2009年1月の評価では、倒産確率が平均3.51%であり、下ブレのシナリオでは6.42%と高い倒産確率を示している。
- 格付けが継続的に悪化しているときは赤信号
- 企業評価や財務評価で1が多い場合は要注意
- 格付けが急激に悪化したときは要注意