取引先の倒産は、企業にとって致命的なリスクになることも少なくありません。
日経テレコン21が提供する企業信用情報を使って信用リスクマネジメントの特別講座を始めます。
第1回目は昨年11月26日に会社更生手続の開始を申し立てた東証1部上場の土木・建設会社オリエンタル白石株式会社を取り上げ、倒産の予兆の見方などを解説します。
※会社更生手続の開始を申し立てた日(2008年11月26日)を倒産の日付とします。
会社の概要
オリエンタル白石株式会社は1952年にオリエンタルコンクリート株式会社として設立。
フランスから先進的な工法を取り入れ土木・建築工事の設計施工を手がけてきました。
1990年4月にオリエンタル建設に商号を変更したのち、1995年に東証2部、翌96年には東証1部指定となり、その後、株式会社白石の吸収合併をへて
現在のかたちとなりました。
会社更生法までの経緯
オリエンタル白石として第1決算期にあたる2008年3月期の売上高は
連結で89,537百万円。
同期は6,001百万円の営業損失を計上し、9,732 百万円の純損損失が発生しました。
2009年3月期は黒字化を予想していたものの、2008年夏ごろからサブプライムローン問題に端を発する市場の混乱、資源の高騰等の影響などもあって、金融機関からの借入・借換えが難しくなっていました。
結果的に11月末の支払いにあてる40億の資金調達の目処がたたなくなり、関連会社2社とともに会社更生手続開始を申し立てたものです。

ポイント1 » 2007年6月 RM格付 BからCへ
2007年3月期決算で大幅な営業損失を計上。
収益の大幅な悪化を見て格下げ。業績動向をウオッチ。
ポイント2 » 2008年6月 CからEへ
2008年3月期決算で再び巨額の損失を計上、
次期決算では黒字予想も斯業環境の悪化に伴い予断を許さず。
業績の悪化および環境の悪化を受けて格下げ。
ポイント3 » 2008年11月 EからE↓へ
ディベロッパーの破綻により焦付き散発。
注意すべき先と判断し、11月初めに短期傾向を↓に変更。
26日に会社更生手続の開始申立を行った。
F格まで下げられなかったのは残念だった。
- 業績の動向には常に注目しましょう。現在、上場企業であれば、4半期報告書でよりタイムリーに業績動向のフォローができます。業績の動向を判断する際には業界を取り巻く環境、当該企業の事業環境も判断の材料に。特に法規制や取扱の商材の需給などは経営環境に大きな影響を及ぼすことがあります。
- 大口の焦付き発生は資金繰りに直結する可能性があるほか、業績、信用力に大きな影響を及ぼすことがあります。取引先と関連がありそうな企業が破綻したら影響がないかどうか情報の収集を。