2009/6/5
商業登記簿とは、会社(法人)という権利、義務の主体に関する一定事項を記載しているものです。取得方法は簡単で、登記所(法務局)へ申請すれば、誰でも登記事項証明を取得・閲覧することができます。また所定の手続を行えば、会社や自宅のパソコンからでもオンラインで閲覧することもできます。
法務局に申請する場合、料金は取得が一通1,000円、閲覧が一通500円となっており、相手方に知られることなく、安価で調べられることから、取引先の初期判断には非常に有効といえます。
商業登記簿を調べることでさまざまなことが分かります。次にそのチェックポイントをいくつか挙げます。ここでの注意点としては、現時点で効力を有する事項しか記載されない現在事項証明書ではなく、過去からの変遷が記載された「履歴事項証明書」を取得するべきです。
- 商号
- 以前は一度商号の登記がなされると、他の人が同一または類似の商号の登記をすることは禁止されておりましたが(類似商号の禁止規制)、会社法の施行によって廃止されました。したがって、よく似た名前を語る業者にだまされる危険性もあり、注意が必要です。また商号が絶えず不自然に変更されている場合などは詐欺業者の可能性を疑う必要があります。
- 本店
- 本店所在地が実際の本社住所と一致しているのか、一致していない場合にはその理由を聞くことが大切です。また商号と同様に、短期間のうちに頻繁に本社住所が変わっている場合も注意が必要です。
- 会社設立年月日
- これによって業歴が分かります。ただし、休眠会社を買い取って実質的に全く別の会社を作る場合もあり、設立年月日が古いからといって鵜呑みにして老舗だから安心なんて考えてしまうのは危険です。
- 目的
- その会社の事業内容がわかります。今回の商談が取引先の中核事業か、周辺分野かなどをチェックしておくことは重要です。また事業目的が異常に多すぎたり、曖昧で何をやっているのかよく分からない会社は注意が必要です。
- 役員
- 取締役・監査役の氏名が記載され、代表取締役は自宅住所も記載されます。また、役員の異動に関しても登記されるので、異動の理由を調べる必要もあるでしょう。
- 資本金の額
- 会社の規模をある程度推察することができますが、「見せかけ」の増資を行っている場合もあり、資本金が大きくても過信せず、過去からの増減資の推移などをチェックします。また会社法の施行に伴って、最低資本金規制は廃止されましたが、やはり資本金は会社の信用の基礎をなすものですので、少なすぎる場合は資金力があるかについて注意が必要です。
- 機関設計
- 機関設計とは、会社の意思決定、業務執行・牽制をどのような機関を設置することで行うか決めることで、取締役会や会計監査人を置くかなどを決めることを意味します。会社法では、会社の個性や実情に応じて柔軟に対応できるようになりました。それゆえにどのような機関設計を選択しているかによって、会社の経営戦略を知ることができます。