Q. 調査は何より顧客に訴求力のあるテーマ選びが重要です。編集会議などで、どうやってテーマを決めているのですか。
実は編集会議はあまり頻繁に開いていません。社員には常に「自分の懐の中に何本かテーマを抱え、熟成しろ」と伝えています。当社は半歩先を行くのがモットーで、Web会議システムやSFA(営業支援)システムをネットワーク経由で利用できるSaaS(サース)型サービスを取り上げるのもライバルより早かったです。いまホットなテーマは(ネットワーク経由でソフトやサービスを利用する)クラウドコンピューティングですね。次はスマートグリッド(次世代送電網)などITを活用した社会インフラでしょう。最近も「データセンターの消費電力とグリーンIT化の実態調査 2010年度版」というレポートを出しました。環境なども有力テーマですが、どうやってICTと絡めてまとめていくか、知恵の絞りどころです。こうした分野のニーズは官公庁でも根強いですね。
Q. 2008年秋のリーマン・ショック以降、顧客企業は調査・マーケティングのコストを絞っています。
当社も顧客企業によるマーケティング予算削減の影響から免れません。今期上期(1-6月期)の当社の売上高は前年同期比で24%減(昨年は年間3%減)となりました。顧客からの依頼調査は比較的安定していますが、自社企画資料の売上が落ち込んでいます。企業経営は10年サイクルで大きく変動しますが、今期で創業20年目の当社にとって20年連続黒字決算ができるかどうか、大きな試練の時です。国内景気の動向は不透明で、IT関連の予算も増えていません。外資系のIT企業も事業計画の権限が本国へシフトしているもようで、本国の了解が得られないとなかなか予算も自由に使えないようです。これは私見ですが、調査・マーケティングの国内市場が縮小するなかで、競合他社と互いの強い分野を補強し合うなどの合従連衡が進む可能性もあります。
Q. 厳しい経営環境下で勝ち残るための決め手は何でしょうか。
いくつか手を打っています。まずは「基(もと)有らば壊(やぶ)るる無し」(子産)ですから、苦しいときも手抜きをせずにいい資料作りを、社員全員が心掛けています。主任研究員を除く全ての社員の自社企画資料及び受託調査報告書の最終内容チェックは、創業以来、私がしております。「MIC ITリポート」も同様です。次に、競合先で手掛けていない、マーケットの先駆けとなるような自社企画資料の発掘です。ICTと関連するICT周辺分野のテーマ開拓にも注力しています。また、受託調査の営業体制として、私と各部長中心にアカウント別担当制も敷きました。
会社名: | 株式会社 ミック経済研究所 |
所在地: | 東京都港区芝4-7-8 芝サンエスワカマツビル10F |
設立: | 1991年(平成3年)2月 |
グリーンシート株式公開: | 2004年(平成16年)11月 |
代表者: | 有賀 章 |
資本金: | 5,300万円 |
社員: | 17名 |
主な事業内容: | * 自社企画のマーケティング資料発刊 * 特定1社からの受託調査 * 経営コンサルティング |
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