Q. 「インド新聞」が提供するニュースの特徴は?
ニュース・ソースは、インド1位のPTI、3位のUNIという2つの通信社です。この2社と正式な契約を結び、両社が配信するニュースから、インドのニュースを日本の視点で1日20件ピックアップして翻訳、提供しています。政治から経済、個別企業の動向まで網羅しています。インドで流れるニュースは、1日1000件以上ありますが、欧米経由のインド・ニュースではなくインド発のニュースです。日本人が関心をもつインドの主要ニュースをデイリーに配信できているところは、他にほとんどありません。例えば、高級車ジャガーを買収する一方、ナノ・カーと呼ばれる超低価格車を発売したタタ自動車については、生産工場をめぐる土地収用問題騒動を克明に伝えました。
また、インド市場の予備調査にも使えることを意識して提供しています。インドの冷蔵庫市場を例にとると、普及率が大都市圏の中間層では95%にのぼる一方、地方、農村部などではこれから、であることを伝えています。また伊インデシット、米ワールプール、韓国LGといったグローバル企業がインドに参入し、インド仕様の製品開発が進んでいる点や、ソニーやパナソニック、日立などのインド市場に参入した日系企業の動きも伝えています。印フューチャー、リライアンスの出店計画など地元流通業界の動向などもしっかりフォローしています。
Q. 日経テレコンに提供する以外に、webでも「インド新聞」を展開していますが、どんなユーザー層がいますか。また翻訳スタッフは?
インド駐在の日本人のかなりの割合の方も読んでくださっています。日本語でパッと読めるというのでホッとするそうです。翻訳スタッフにまかせきりというのではなく、インドと日本の双方の事情がわかる人間を介在させてクォリティを確保しています。個別企業に応じたニュースの翻訳サービスも別途やっています。
Q. 2020年半ばごろにはインドは中国も抜くとまで見られていますが、日本人の素朴な疑問を一つ。どうしてインドは突然、成長を始めたのでしょうか?
いろんな説があり、正しい見方は別の人たちがしてくれているのでしょうが、私の見方を紹介します。インド経済は、90、91年に通貨危機に見舞われ、どん底まで落ちました。ほぼギブアップしたその時に日本が徹底的に支援しました。中央集権だったインドが地方分権に転換しました。中央政府が州政府をコントロールしていたのをやめ、各州の自主性にゆだねたのです。その各州の施策を中央政府が吸い上げ国家戦略としました。IT分野、特にソフト面に力を入れたのです。インドはもともと数学に強い国民性があったこともあり、この戦略が当たりました。目に見える形で社会全体が成長し始めました。一方、負の側面として貧富の差が拡大した事実もあります。25歳以下が人口の6~7割という人口構成で、若い労働力を振り向けることができる条件も生かせました。海外に流出していた医者、エンジニア等を呼び戻す戦略も非常に功を奏しました。インド国民にはプライドがあり、庶民に至るまで政治に対する非常に強い関心を抱いている、ということもあります。
Q. インド新聞にとっての課題は?
まだまだ日本ではインドやアジアの情報が表面的にしか捉えられていない面があります。先ほど紹介したタタ自動車ですが、日本人は、20万円という低価格のクルマを作れるインドという国をまず考えなくてはいけない。その同じ会社がジャガーを買収した事実もある。一方、マルチ・スズキがインド国内のシェアの50%をおさえている。こういう状況は、自動車業界に関係のない日本人にとっても興味深い事実なのではないでしょうか。それをどう理解すればいいのか、しっかりじっくり考えて欲しい。日本人にはいい意味での危機感をもっていただきたいと思います。海外で何が起きているのか。日本人は欧米の動向には熱いまなざしを向けるが、アジアではインドが何しようが中国がどう動こうが関心が薄い印象がぬぐえません。もう少しアジアを研究することで、日本国内の問題や国際社会での日本の立ち位置というのが、はっきり見えてくるのではないか、と思います。もう少し踏み込んで考えたほうがいい。日本(の将来)が少し心配になってきます。もう少し日本人が興味をもってもらえるコラム等を用意するなど、インド・ニュースの提供をもっと充実していなかなくてはいけない、頑張らなくてはいけないと改めて思っています。
社名: | 株式会社ムロドー |
企業理念: | 「情報の再発見と流通」のプラットフォームをつくる |
所在地: | 東京都目黒区上目黒2-15-6 諸橋ビル3階 |
代表取締役社長: | 飯田啓之 |
設立: | 2007年4月3日 |
資本金: | 800万円 |
従業員数: | 10名 |
業務内容: | ・情報流通プラットフォーム"Deckkr"の企画/開発/運営 ・インド新聞の企画/開発/運営 ・Webサービスの設計・開発支援 |
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