中央日報日本支社 日本支社長 駐日特派員 金玄基(キムヒョンキ)氏

中央日報
日本支社長  駐日特派員
金玄基(キムヒョンキ) 氏

日経テレコン21 コンテンツ紹介・インタビュー

第4回 韓国紙「中央日報」

漢字廃止やネット進出、先駆的新聞(2009/11/18)

「日経テレコン21」が提供する200紙誌を超える収録コンテンツ。11月5日には、記事検索メニューに韓国紙「中央日報」の日本語ニュースを追加しました(提供:Joins.com Inc.)。
提供元のキーパーソンにコンテンツの特徴を聞いて紹介する当コーナーでは、今回、「中央日報」の日本支社長・駐日特派員の金玄基(キム・ヒョンキ)氏に聞きました。(一部敬称略)


Q. 韓国の主要メディアを教えてください。

  韓国の新聞は、総合紙10紙、経済紙6紙ほどがあります。総合紙の中でも『中央日報』『朝鮮日報』『東亜日報』は「3大紙」と言われ、最近は『中央日報』と『朝鮮日報』を「両大紙」(2大紙)という向きもあります。テレビは地上波テレビ局が3局4チャンネル体制となっています。公営放送のKBSがKBSとKBS2の2チャンネルをもっています。それ以外に「韓国のCNN」を目指す報道専門チャンネルYTNがあります。3大紙は日本の新聞社と提携関係があり、中央日報は日本経済新聞、朝鮮日報は毎日新聞、東亜日報は朝日新聞と提携しています。

Q. 中央日報について、ご紹介ください。

  「3大紙」は保守系新聞とも称されます。3大紙をあえて区別すると、朝鮮日報はかなり右寄りの論調で、東亜日報もそれに近い右寄りです。中央日報は真ん中より少し保守的というイメージになります。中央日報は、北朝鮮問題でも強硬路線を唱える他の2紙に比べ、進歩的な主張をしています。7年前の新年の企画記事で「厳しい原則は維持しながらも、国家予算の1%を北朝鮮向けに振り向けて、貧困層対策とか食料支援に振り向け南北間の文化的なギャップを減らす予算作りをすべきだ」といった主張をしたこともあります。外交面でも強圧的な制裁よりも話し合いによる解決を図るべきだとの主張もしています。そういう点では少し差があります。

  発行部数は200万部。創刊は1965年です。3大紙の中では最も新しく創刊された新聞となります。もともとはサムスン財閥の系列会社として発足、財界の話や経済に強い新聞といわれました。当初は、政治は朝鮮日報、経済は中央日報というイメージがありました。しかし、新聞社が特定の資本に依存していては、独立性の問題が生じます。このため1999年、サムスンとは資本面で完全に分離し、現在は関係のない独立した新聞社となっています。

Q. 中央日報の特徴は?

  先に説明したように、一言で中央日報を表せば「中立」です。またもう一つの特徴として、先駆的な新聞というのがあります。

  韓国紙で一番早く横書きを始めた新聞で、最初に漢字を廃止したのも中央日報です。韓国紙すべてが追随しました。新聞のネット版、インターネット新聞を最初に手がけたのも中央日報で、1995年のことです。韓国のみならずアジアでも初と言われています。最近では、紙面サイズを「ベルリナー判」という、日本の新聞サイズであるブランケット判と日本のスポーツ紙などが採用しているタブロイド判の中間のサイズに変えました。ブランケット判の70%ほどの大きさで、持ちやすく見やすい新聞に変えたのです。今年3月に全面移行しました。数年がかりでした。サイズ変更にあたっては、紙面サイズが小さくなって広告サイズも縮小し広告単価が下がるのではないか、といった社内の懸念の声などいろいろありました。しかし、移行後7カ月たちましたが、広告単価下落といったことは全然起きませんでした。世間の評判もよく、特に若者に好評です。サイズ変更は若者に読みやすい新聞という狙いがありました。生徒らが作る学校新聞でも中央日報が採用したベルリナー判で印刷して欲しい、という要望が出たりしています。

  読者層の面では中央日報は、都市部や主婦、若者に一番強い新聞と言われています。また日曜新聞もあります。日本と異なり韓国の新聞は、日曜日は発行していませんが、中央日報だけが「中央サンデー」という日曜紙を出しています。

Q. 記者の数や海外支局などを教えてください。

  記者は国内外あわせ350人前後います。海外支局は米国を中心に海外に13カ所あります。韓国メディアで最強のグローバル・ネットワークをもっています。米国ではロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、ワシントン、サンフランシスコ、アトランタに支局があり、それぞれ別刷りの形でLA版などの地域版を出しています。海外メディアとも多数提携しており、日本では日経新聞、米国ではワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナル、ロサンゼルス・タイムズ、ニューズウィーク、フォーブスと、英国ではフィナンシャル・タイムズと提携しています。