日経テレコン21 コンテンツ紹介・インタビュー

Q. 中央日報がネット版を始めた時期や狙いは?

  1985年に「オンライン人物情報」というのを始めたのが、最初ですが、1995年になって韓国でインターネット新聞を開始、2000年に日本語版も始め、2006年にはテレビ映像も含めたJoinsへと拡大させました。海外版は英語、中国語、日本語の3カ国語でサービスしていますが、海外版でユーザーが一番多いのは日本語版です。日本語版のページビューは現在、月3500万人です。

Q. 中央日報のネット版の特徴は?

  中央日報のネット版は、単に新聞の記事だけを載せるだけでなく、中央日報グループがもっているコンテンツを載せています。中央日報はコンテンツに強いとも言われます。グループ内に、新聞だけでなくいろんなコンテンツをもっており、それらを集めてインターネットに載せているからです。韓国最大の出版社、中央M&Bをもっており、女性誌やファッション誌もあります。これに加えて中央時事メディアという会社があり、その下には「ニューズウィーク韓国版」「フォーブス韓国版」「エコノミスト」(英エコノミストとは無関係、自主制作の週刊経済誌)「月刊中央」という時事を扱う雑誌4種類をもっています。ネットで使える幅広いラインアップがあり、コンテンツ数で他を圧倒しているとの評価をいただいています。

  スポーツ、芸能にも強いのも特徴です。傘下に「日刊スポーツ」というスポーツ紙をもっています。もともと韓国日報が所有していたスポーツ紙です。また中央エンターテインメント(JES)というエンタメ専門会社もあり、芸能情報をたくさんもっています。これらもネットに集めています。

Q. 韓国は日本以上にネット社会化が進んでいるようですが、ネットと新聞の関係は?

  最近は新聞を紙面ではなくネットを通じてみる傾向が強まっています。韓国ではどこに行っても情報インフラがよく整っており、ネットは生活の一部というより生活のほとんど、ネットを通じた生活が根付いています。これからコンテンツへのアクセスはネットを通じて、ということになります。

  ネットへの対応という点では、韓国の新聞社と日本の新聞社では違いがあります。韓国の新聞社は、新聞に掲載するニュースを全部ネット上に無料で公開しており、各社はネット上でいかに速くニュースを流すかの競争をしています。ネットに無料で記事を出す、というところから始まったため、有料に戻せない部分があります。ネット上の無料ビジネスを有料ビジネスに戻すというアプローチは、韓国ではもはやうまくいきません。そこでいろいろ考えていますが、(利用者にとっては)無料で利用できるという点は変えないまま、ポータル・サイトに有料で蓄積したコンテンツを提供するなど取り組んでいますが、限界もあります。広告のトレンドは、日本も同様でしょうが、地上波テレビや新聞といったオールド・メディアからネットへ広告が流出しています。この傾向はかなり強く、またネット広告の単価も上がっています。

Q. 韓国の新聞社がこぞってテレビ進出を目指しているとも聞きますが?

  かつて韓国には公営放送のKBS、国の影響力の強いMBC、中央日報が作った唯一の民放のTBCの3局がありましたが、1980年、軍事政権であった全斗煥政権が新聞社のテレビ経営を法律で規制、TBCは消滅しました。民主化後も政権は自分寄りの新聞を維持したいという思惑もあり法律改正できずにいましたが、今年7月、メディア法が改正され、新聞社も地上波テレビや、ケーブルを通じた総合編成チャンネルに参入できるようになりました。地上波は2012年のデジタル化を控え、資本投下はできるが経営参加はまだできない状態です。このため、ほとんどの新聞社はケーブルを通じた総合編成チャンネルへの参入を目指しています。来年2、3月ごろまでに事業者が選定され、来年中には参入が果たせる新聞社が登場するスケジュールです。参入できそうな事業者数ははっきりしませんが、1~3社ぐらいと予想されています。

  新聞社の中には、新聞を投げ打ってでもテレビ進出を果たそうとしていると見られているところもあります。テレビで収益を上げられるから新聞を捨てるという意味ではなく、新聞・テレビ・通信といったメディアの融合を通じたビジネスモデルを作りだせるのではないか、そうしなければ生き残りが図れないという懸念が新聞社側にあり、それに立ち向かうという意気込みの表れと解釈すべきだと思います。また、日本と異なり韓国ではケーブルテレビ加入率が90%を超えており、国民の間では地上波同様に受け止められています。ケーブルでは地上波では規制されている酒・タバコの広告も可能で、視聴料と広告料の両方の収入が得られるメリットがあります。収益モデルとしては地上波モデルよりもいいのではないか、と見られています。さらに、単にケーブルテレビにとどまらず、IPTV、衛星テレビを通じても放映できます。

  中央日報はテレビをもっていたというノスタルジアもありますし、韓国で最初に民放を作ったというプライドもあります。最近でも15年ほど前から3つのケーブルチャンネルを運営してきたノウハウ、経験もあり、他社に比べコンテンツ制作面での競争力は上だと自負しています。メディア王ルパート・マードックではありませんが、中央日報は、アジアでNo.1のメディア・グループを目指しています。すべて整っていますが、総合編成チャンネルだけがない。

Q. 話は変わりますが、中央日報が流す韓国ニュースのうち、日本語で読めるのはどれくらいですか?

  中央日報及び傘下の新聞社の記事等から厳選したニュース、1日当たり60-75件を日本語に翻訳しています。翻訳作業はソウルで行っており、翻訳スタッフは日本人を含む4人となります。いずれも10年以上の経験者です。

Q. 日本では韓流ドラマブームなどの影響もあり、日本でも韓国ニュースが着実に浸透し始めているような気がしますが?

  韓国ドラマへのニーズもありましたし、北朝鮮問題への関心の高まりも大きいと思います。北朝鮮問題に対する韓国メディアの視線、とらえ方を日本の学者やオピニオン・リーダーが見たいという要望もありました。