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株式会社 ムロドー
インド新聞 Co-Founder/プロジェクトリーダー
ゴーシュ・オングシュマン氏

日経テレコン21 コンテンツ紹介・インタビュー

第1回 インド新聞

「編集長」は、日本生まれ日本育ちの「インド人」(2009/10/19)

「日経テレコン21」が提供する200紙誌を超える収録コンテンツ。提供元のキーパーソンに聞いたコンテンツの特徴を紹介します。
第1弾は、IT系企業「ムロドー」が提供する「インド新聞」。プロジェクトリーダーのゴーシュ・オングシュマン(Angshuman Ghosh)氏に聞いた。(一部敬称略)


Q. 「インド新聞」を一言で紹介すると?

  インド国内外で報道されている生のニュースを通して、インドの“今”を伝えるインド専門ニュースです。私は日本生まれ日本育ちのインド人で、日本とインドの2つの目線から、日本人の関心を呼ぶインドのビジネス・ニュースを中心にお伝えできます。日本とインドの架け橋になりたいという志から始めました。2008年にweb上で創刊し、これまでに7000本の記事を掲載しました。

Q. まず自己紹介からお願いします。

  私の家は元々コルカタ(旧カルカッタ)のヨガの宗家です。

  いきなり脱線しますが、ハタ・ヨガというラジオ体操に近いようなタイプのヨガです。一族で一番有名になったのは、ヨガナンダという大叔父で、西洋にヨガを普及した人物として知られています。大叔父は「悟り」を開く方のヨガですが、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のアルバム・ジャケットにも映っている人物で、インドでは切手にもなりました。ヨガだけでなくインドの独立運動にもかかわりの深い家系です。

  ヨガには8段階あります。日本人は「座禅」を知っていますが、実はヨガの中で座禅は上から2番めに高いレベルのものです。第二次世界大戦後、高度成長している日本人だが、段階を踏むべきヨガで日本人は4段階目の体操のようなレベルのヨガも知らない。これではいけないと思った祖父が「日本でヨガを普及させたい」との思いをもち、私の両親に日本でのヨガ普及を命じました。日本の外務省の要請も受けて1970年に両親が来日、73年に新宿でヨガ道場を開きました。そして75年に私が生まれたわけです。

  私は新宿生まれ新宿育ちのインド人です。98年に国際基督教大学教養学部を卒業し、ゴールドマン・サックス証券、リーマン・ブラザーズ証券に計9年勤務しました。両社ではデリバティブ商品の契約事務等の業務をしていました。また在学中から外務省の特殊言語(ベンガル語、英語、日本語)の通訳を務めたりもしました。リーマンを退社したのとほぼ同じころ、大学の先輩だった飯田啓之がムロドーを起業、在学中から2人で日印のために何かをしよう、と思っていましたが、その具体化として立ち上げたのが「インド新聞」です。

Q. 「インド新聞」を立ち上げようと思ったのは?

  日本ではインド情報が圧倒的に不足していました。このギャップを埋めようと思い立ちました。インドのニュースは英語では読めますが、日本語は少なく、日本語で読めるビジネス・ニュースをピックアップしてあげれば日本人にとって魅力あるものになる。インドをもっと知ってもらえるし、ビジネスにもなると考えました。ムロドーはIT系の会社だったので、紙媒体を飛ばして一挙にweb媒体として立ち上げました。インド関連のニュースが日本にどれくらいあるかというと、日本経済新聞、朝日新聞などが日本語で提供しているニュースは、1日1~2件、合わせても数件~十数件程度に過ぎません。日系企業の進出数は、中国の2万3000社に対し、インドは800社とまだまだ少ない。一方、日本企業のアジア向け直接投資は、2008年度には中国を抜いてインドが最大の投資先になっています(表参照)。昨年9月以降、リーマン・ショックが世界を覆っていますが、インドは内需型経済で世界不況の影響が小さいというのも特徴です。そうしたことから日系企業によるインド進出が今後本格化すると見ており、インド情報へのニーズはさらに高まる構図にあります。

表1、2表1、2