2014FIFAワールドカップ直前スペシャルインタビュー 宮澤ミシェル サッカー界を俯瞰できる解説者という立場で世界の「変化」を現場に伝える

サッカーも「情報戦」の時代に入った

インタビュアー:そういう海外の情報は、どこから収集されるのですか?

宮澤:私は解説者という仕事がら、海外リーグの解説をしたり、海外に視察に行ったりする機会に恵まれていますから、こうした海外で起きている「変化」についても、いち早くその情報に触れることができるのだと思います。

たとえばかつてバルセロナの監督で、昨年、ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンの監督に就任にしたジョゼップ・グアルディオラ氏などは、ゲームの前半にビデオを撮らせ編集させて、後半が始まる前に控室でそれを選手に見せながら、後半の戦術を立てるという徹底ぶりです。

今までは、ゲームが終わった後にビデオを見ながら反省点を上げ、次のゲームの戦略を練るというのが一般的でしたが、これからは情報戦にスピード感も併せ持たなければ勝てなくなるほどサッカー界もめまぐるしく動き始めています。

そうした海外のリーグで起きている「変化」をいち早くつかむのも私の仕事です。解説者というのは、ある意味このようにサッカー界を、国内外問わず俯瞰的に見ることのできる、特殊な立場だと思っています。

ところが、監督や選手という立場で”現場”に入ってしまうと、なかなかそうはいきません。もちろん、現在のサッカーは情報戦ですから、次に対戦する相手に関しては、細かい情報を集めています。しかし、世界で起こっている「変化」を分析するまでには手が回らないことも多い。

そこで私は、監督のインタビュー取材に行って逆に監督のほうから意見を求められたときなどは、私が見聞きした世界のサッカー界の情報も提供したりします。その中には、監督がすでにご存じの情報もあれば、まだご存じでなかった新たな情報をご提供できることもあります。選手の場合も同様です。

このような機会を通じて、私は国内外のサッカーを見て得た最新の情報を、どんどん「現場」の皆さんに伝えていきたい。それが日本のサッカー界の向上に少しでも役に立つことを願っているからです。

今はインターネットの時代ですから、世界中のサッカーに関する情報も比較的簡単に集められます。ただ、大切なのは、そこで集めた情報に自分の経験を加えて分析し、実際の戦略に役立つような情報に落とし込み、さらにそれを分かりやすく伝えることだと思います。これはサッカーに限らず、ビジネスでも同じことが言えるのではないでしょうか。

(終)