シービー・リチャードエリス総合研究所株式会社 取締役 イノベーションセンターシニアディレクター 鈴木孝一氏

シービー・リチャードエリス総合研究所株式会社
取締役
イノベーションセンター シニアディレクター
鈴木  孝一  氏

日経テレコン21 コンテンツ紹介・インタビュー

第10回 クレイス・ジャパン事業用不動産マーケット情報

賃貸オフィスの空室率は全国的に最高水準(2010/2/5)

「日経テレコン21」が提供する200紙誌を超える収録コンテンツ。提供元のキーパーソンに聞いたコンテンツの特徴を紹介します。
今回はシービー・リチャードエリス総合研究所(CBRE総研)が提供する「クレイス・ジャパン事業用不動産マーケット情報」。CBRE総研は、世界最大の事業用不動産サービス会社「CB Richard Ellis」日本法人の関連会社で、日本国内の不動産に関するエリアマーケット情報を提供しています。同社取締役の鈴木孝一氏に聞きました。


Q. クレイス・ジャパンのサービスを始めた時期や背景などについてお聞かせください。

  2004年夏に不動産マーケット情報を提供する会員制サービス「アイデス・クレイス(IDSS-CREIS)」の提供を始めました。IDSSは当時の社名「生駒データサービスシステム」の頭文字、クレイスは「Commercial Real Estate Information Service」の略で、商業系の不動産情報を提供することを目的としています。その後当社がシービー・リチャードエリスグループになったことで2008年1月に現在のサービス名「クレイス・ジャパン(CREIS Japan)」にしました。

  事業用不動産の統計情報は、1997年から四半期ごとの「オフィスマーケットレポート」という冊子を中心に、不動産仲介の営業支援ツールとして、また、弊社の業務案内ツールの一つとして提供してきました。ビルのオーナーやテナントさんへ無料でお渡しするものです。そのレポートでは不動産の動きやすう勢は把握できますが、詳細なデータを見ることはできませんでした。

  2001年に日本市場にもREIT(不動産投資信託)が導入されたことで、不動産関係者だけでなく商社や外資を含む金融機関、投資ファンドなどが詳細データを必要とするようになりました。このため2004年からWebを使った会員制のサービスを始めたわけです。このように、会員になれば広く誰にでも不動産データを提供するサービスは、欧米では当社グループをはじめとして、いくつかの事例がありましたが日本では最初でした。

Q. 情報の収集方法やデータの特徴についてお聞かせください。

  国内主要都市に数百人いるシービー・リチャードエリスの営業担当者が、空室情報や募集賃料など実際に仲介を行うための情報を収集しています。それを当社で蓄積しデータベースに加工しています。

  クレイス・ジャパンの情報はエリアごとの情報、すなわち「面」データです。個別物件の投資目的や鑑定には、具体的なピンポイントの物件情報が必要ですが、エリア単位のすう勢を見る、あるいはそのトレンドの中での位置づけを見るには「面」データが必要です。さらに過去の時系列データがあることで地域、都市のボラティリティ(変動性)がわかりますので、投資する地域を選ぶ判断材料となります。


  データの特性(1)空室率

  クレイス・ジャパンの空室率は既に入居可能な状態の空室を対象としており、解約予告を含みません。6カ月後には入居できるが、現時点では退去予定のテナントが入居状態である場合は空室にカウントしません。他社の指標では解約予告を含むデータもあるようですが、解約予告を含んだ場合の空室率はボラティリティが大きくなる傾向があります。


  データの特性(2)募集賃料

  個別の契約情報は守秘義務があって開示できない、市場環境の変化によるサンプル数の変動が大きく細かなゾーンに分解すると十分なサンプル数が確保しにくいなどの理由でクレイス・ジャパンでは募集賃料を使っています。募集賃料の算出方法は、棟数ベースの単純平均で行っています。