東亜日報 東京支社長
 尹鐘求(ユンジョングン)氏

東亜日報  東京支社長
尹鐘求(ユンジョングン)氏

日経テレコン21 コンテンツ紹介・インタビュー

第7回 東亜日報

1920年創刊の民族紙(2010/01/05)

「日経テレコン21」が提供する200紙誌を超える収録コンテンツ。11月5日には、記事検索メニューに韓国紙「東亜日報」の日本語ニュースを追加しました。
提供元のキーパーソンにコンテンツの特徴を聞いて紹介する当コーナーでは、今回、「東亜日報」の東京支局長の尹鍾求(ユン・ジョング)氏に聞きました。(一部敬称略)


Q. 「韓国の朝日新聞」とも称されるようですが、東亜日報についてご紹介ください。

  韓国で最大の有力紙の一つで、正論紙を追求しています。1920年4月1日の創刊で、当時、韓国は日本の植民地時代でした。唯一の民族紙として創刊され、以後90年間続いている新聞です。読者と一緒に今まで正論紙として続いてきました。東亜日報の社是は3つあります。民族主義、民主主義、文化主義です。この3つを基本理念として今まで頑張ってきました。

  記者は韓国の新聞社の中で一番多い500人余りいます。新聞だけでなくインターネットも展開しており、月刊誌をはじめとする雑誌や科学雑誌の「東亜サイエンス」、子供向け新聞など多様なメディアに進出しています。


  新聞の役割は、読者にいい情報を伝えること。2つめは、国民の立場に立って権力を監視することだと思います。東亜日報はこれを忠実にやってきたメディアだと思います。民族紙を目指した創刊以来、1945年まで民族主義を掲げ、独立精神や民族的な面で尽力してきました。文化主義に基づき、音楽、芸術などにも数十年前から力を入れており、韓国で一番大きい大会や展示会を開催し続けています。

  解放以降、独裁政権の時代には、政権に抵抗して反独裁、民主主義を主張し、政府から弾圧を受けたこともあります。民主化以降は多様な情報を色々な形で読者へ伝えることに力を入れており、現在のようにネットなども通じて読者にニュースを伝達するように努力しています。

Q. ネット版を始めた時期や狙い、特徴は?

  インターネット版を始めたのは1996年10月です。当時は「MIDAS.DONGA」という名称で始めましたが、現在は「dongA.com」という名前になっています。東亜日報の記事を流すだけでなく、様々なニュース、例えば生活情報なども迅速に流しています。ネット版でも東亜日報と同様、読者のニーズに合わせた形で記事を伝達するというのが狙いです。迅速なニュースの伝達、ニュースの多様化に応じ、ネット版を運営しています。基本的な精神としては、「ワンソース・マルチユース」を目指しています。

  東亜日報のネット版には、他にはないいくつかの特徴があります。インターネットテレビである「東亜eTV」は、毎日20分ずつ「東亜ニュースステーション」という生中継でニュースを報道しています。またBBCワールド、ブルンバーグ、豪ABCAP、台湾ETTVアジア、ドイツなど6カ国・地域の代表的な言論社と、24時間交流しながら全世界のニュースを報道する国際的なニュース交流をしています。

Q. 韓国でのネットと新聞の関係はどうなっていますか?

  新聞に出た記事はすべてネットで流しています。新聞では読者との双方向的な対話ができませんが、ネットでは同時に、双方にできるので、読者の反応がすぐ分かります。新聞としても読者のニーズが何なのか、ネットを通じてすぐに把握できるので、新聞記事をより多様な形で、読者に伝えられるという意味で、新聞にも読者にも互いに役立つと思います。

Q. 韓国の新聞社はテレビ進出を狙っていますね。

  そうです。東亜日報をはじめ、いくつかの新聞社はこぞってテレビ進出を狙って、競争しています。2010年上半期に認可が出ると思われ、1社か2社が認可を受けるのではないかと見られています。東亜日報は客観的にも、国内の評判を見ても認可をとる自信があります。各社ともいろいろ準備をしていますが、東亜日報が一番準備が進んでいると思います。東亜日報は1963年から17年間東亜放送というラジオ放送を運営した経験があり、当時のコンテンツも保管してあります。そうした点からみてもテレビ放送の認可が獲得できる可能性が高いと信じています。

Q. 日本でも韓国のニュースが浸透しつつあるように思えますが、どうでしょうか。

  韓流ドラマをはじめ、日本で韓国のニュースや情報、生活などが、ほぼ同時に紹介されています。日本にも韓流ファンが多いですね。2009年は日本から韓国への観光客数が過去最多の300万人を超えました。日韓の交流は盛んで人的な面だけでなく、情報、文化の交流もさかんになっています。逆に韓国でも「イルド(日本ドラマ)」という新しい言葉が出来るなど、若者の間では日本のドラマが人気です。そういう時代になりました。一方的ではなく相互的な交流がますます盛んになるでしょう。