株式会社データウェア 代表取締役社長 川野攻氏

株式会社データウェア
代表取締役社長
川野  攻  氏

日経テレコン21 コンテンツ紹介・インタビュー

第9回 データウェア落札情報

官公庁の調達情報を透明化・公平化・効率化(2010/1/22)

「日経テレコン21」が提供する200紙誌を超える収録コンテンツ。2009年11月2日には、記事検索メニューに株式会社データウェア(東京・台東)の「落札情報」を追加しました。同社が提供する官公庁調達情報サービス「データウェア・ネット」の落札情報を収録するものです。提供元のキーパーソンにコンテンツの特徴を聞いて紹介する当コーナーでは、データウェア社長の川野攻氏に聞きました。


Q. データウェアが提供する「落札情報」とは?

  日経テレコン21に収録されている落札情報は、当社が提供する官公庁調達情報「データウェア・ネット」の落札情報です。そもそも落札情報とは、入札した結果です。近年、公開されるようになってきています。

Q. 会社設立の狙いや、「落札情報」の提供を始めた理由を教えてください。

  当社は「落札情報」の提供を目指して始めたわけではありません。データウェアは、ビジネス向けコンテンツ提供を目指して創業しました。コンテンツといっても、ケータイ向け、ゲーム、娯楽などいろいろありますが、私どもは、ビジネス直結の社会システムのコンテンツ・データベースを事業化することを主眼においています。約8年前に事業を計画しました。

  私が東芝で官公庁のSEと営業を、定年までやってきて、その実績と経験を生かして、ビジネスをやろうと思ったのが発端です。具体的なきっかけとなったのは、東芝を離れてソフト会社に行っている時に、厚生省(当時)に調査分析用にデータマイニングシステムを提案したことです。案件をとるためには、どうしても入札になる。一般競争入札は掲示板に貼り出される掲示公告になるのですが、役所は公告する日や内容を教えてはくれません。貼り出されていないか、毎日足を運んで見に行かなくてはならない。私や部下が交代で10日ほど見に行きました。

  調べてみますと、他省庁や地方自治体も同様で、公告の有無を確認するため業者が掲示公告を現地に行って確認するしか方法がありません。無駄な営業活動からの解放、省力化の工夫、情報の透明化を考える毎日となりました。

  民間の大手企業では、サプライチェーン・システムの一環として、協力会社へはネットを通じて調達情報が伝達される仕組みをもっているところがありますが、官公庁ではこうしたシステムは皆無でした。「官と民の架け橋」となるような効率的でスピード感のある、かつ透明性・公平性にもつながるような社会システムを事業として構想しました。

  調達情報を民間に流すというコンテンツはありえる、と考え、計画をつくり、ベンチャーとして事業化することにしました。データ入力に経費の掛る事業ですが、販売連携の会社様も多くなり、事業拡大も具体化してきました。

  会社は2007年12月5日に設立しました。社員は非常勤・外注を含め現在25人の体制です。

Q. 現在手がけている事業は?

  2つのサービスをやっています。官報に掲載される調達情報を配信する「官報WTO調達情報即日配信サービス」、もう一つが、官公庁が掲示板に貼り出す「掲示公告調達情報配信サービス」。「官報調達情報即日配信」は無料サービスで、配信先は2000社を超えました。毎日5-10社増えています。私どもは、あえて無償サービスにしています。うち1割でも有償サービスの顧客になってくれればいいという戦略で、顧客を集めるために無償でやっています。会社を創業しても顧客を集めるのは大変なことです。あえて無償にしましたが、思った通りいい反応が得られています。

  2つのサービスは、それぞれ2008年3月、8月に始めました。会社創業後3カ月、8カ月という短期間でのサービス開始です。これだけのスピードが可能だったのは、約8年前に計画を立て、システム仕様も頭の中でできていたためです。それまでの検討の蓄積があったからこそ、会社創業後、迷うことなく実行に移せたのです。

Q. 提供する落札情報には、どういう特徴があるのでしょうか。

  私どもは過去3~4年分のデータを蓄積し、順次新しいものを追加しています。私どもしかやっていないサービスです。このデータベースを使うと顧客のライバル企業が、何を受注したかもわかりますし、自社が落札した実績、ライバル企業が落札した実績がわかりますので、マーケティングの分析にも使えます。顧客が特に使いたがるのが、類似の案件が昨年いくらで落札されたかという情報です。官公庁のメンテナンス業務やアウトソーシングといった継続事業に多い。官公庁の発注業務には、リース契約、ビル管理、インプット(入力作業)関連、警備や印刷等の毎年同じような案件も結構多いのです。いくらで落札したかがわかる。新規参入しようとしている時に、他の業者が前年に落札した参考価格がわかるので、注目されています。このほか、信用調査や企業調査にも使えます。企業調査のデータ強化の一環として、信用調査会社からも引き合いが来ています。